恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学卒業者・恵迪寮中途退寮者の井上修一が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

恵迪寮入寮の手引き

恵迪寮の新入寮生が、自治会や上級生による権利の侵害から身を守り、望まない退寮を回避するための、私からの提案を述べる。

自治会規約を読む

自治会規約が事前に郵送されているはずなので、熟読しておく。知識がないと自治会側の口のうまい寮生の思うがままになってしまう危険がある。

自治会入会

寮に着くとまず入寮銓衡委員会が新入寮生に対し自治会の意義を説明し、自治会入会を要請する。ここで納得できないことがあれば質問する。恵迪寮自治会は入会するのもしないのも任意の団体なので、新入寮生が納得するまで説明する責任が自治会にある。

自治活動に参加する気が全くないのならば自治会への入会を拒否するのが筋の通った選択だと私は考える。おそらく押し切られて入会する結果になると思うが、言いなりにならないことに意義がある。

部屋選び

部屋決めの前に部屋を見学し、自分に合いそうな部屋を選ぶ。相部屋でも穏やかなところがあること、個室でも理不尽な扱いが横行しているところがあることに注意する。行事・食い極の強要をするつもりかどうか、質問する。

議案を読む

自治会に入会し、部屋に配置されたら速やかに、2014年12月以降の恵迪寮自治会の議案を全て読む。参照されている過去の議案も読む。特に、入寮銓衡と新歓に関する議案は注意して読む。上級生のなかに「新歓への参加は義務だ」とか「食い極をしなければならないというルールがある」等と嘘を言う者があるので、こういう嘘に対抗するために恵迪寮自治会の「成文法」としての議案を熟読する。議案は執行委員会に頼めば読める。

顧問入寮銓衡委員

新入寮生全員に、担当の入寮銓衡委員が設定される。これを顧問入寮銓衡委員ないし顧問入銓と呼ぶ。入寮銓衡委員によって能力ややる気、誠実さに差があるので、疑わしいと感じたら他の入寮銓衡委員との面談を願い出ると良い。自分の顧問入銓に向かって言うのが難しければ、入寮銓衡委員長や、他の入寮銓衡委員に言う。

ハラスメントの記録と相談

行事参加や食い極の強要、暴力、脅迫、乱暴な言動、器物損壊、嫌がらせ、その他嫌だと感じる言動を受けたら、誰にいつどこで何をされたかを記録する。目に余るようになれば、北海道大学ハラスメント相談員 (http://www.hokudai.ac.jp/jimuk/soumubu/jinjika/sekuhara/list.htm)、北大学務部学生支援課、札幌弁護士会法律相談センター (https://www.satsuben.or.jp/center/)、入寮銓衡委員会に相談する。外の機関に相談する前に寮内での解決を目指してほしい、と言う寮生が必ず現れると思うが、寮内で解決したいというのはそういう寮生の願望でる。さらに、寮内だけでは解決できない問題が存在するのは過去の事例から明らかである。だから、怯まずに、自分の権利として外の機関への相談を選択肢に加えれば良い。

部屋の移動

恵迪寮での生活に耐えられないと感じたら、退寮の前に部屋移動を試す。アレルギーが出て耐えられない、と申し出れば、認められる可能性が大きい。

寮外への避難

出たくない行事がある日は、寮外の友人・知人の家に泊まるのも一手である。新歓行事はゴールデンウィークでほぼ終わるので、それまで避難して過ごすのも悪くはないと思う。

2018年12月12日追記

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壁の壊された居室から移動できなくなる例と打開策

恵迪寮には個室と相部屋 (恵迪寮の用語では「複数人数部屋」) がある。多くの相部屋では、入口に近い2つの居室の間の壁を壊して居室二つ分の広さの「居部屋」(リビング) を作っている。

恵迪寮では6月と12月に部屋替えをする。建前ではこのとき全ての部屋が解散して新たに結成される。しかし、現実には、個室として使われるブロック、相部屋として使われるブロックは固定されており、変動しない。例えばA棟1階外側ブロックはずっと相部屋であり、E棟5階内側ブロックはずっと個室である。よって、居部屋の壁は壊したままにしておいても文句が出ることがない。

ところが、恵迪寮の現在の建物ができてからの31年間のスパンで見ると、かつて相部屋だったがいまは個室であるブロックが、寮内にいくつかある。こういうブロックでは、居室間の壁のないところに段ボールや新聞を貼り付けて壁の代用としている。隣の居室の音・光・匂いが入ってきて、劣悪な環境となる。こういうブロックでこういう劣悪な居室に上級生が住みたがらない場合は、新入寮生がこういう劣悪な居室に入ることになる。これを理由とする早期退寮の例も存在する。

もし他のブロックの壁のある個室に住んでいる人が、上記のような壁のない居室でも耐えられる場合、居室を交換すれば二人とも円満に暮らせるだろう。しかし、恵迪寮自治会はこの居室交換を認めない可能性が大きい。なぜなら、恵迪寮自治会は、部屋内の話し合いによって解決し得る問題を理由に部屋を移動することを認めていないからだ。新入寮生が壁のない居室に耐えられないならば部屋内の他の寮生と話し合って部屋内で居室を交換すべきだというのが恵迪寮自治会の立場だ。しかも、

新入寮生「(上級生の居室をノックして) 居室を交換していただきたいのですが……」

上級生「(ドアをわずかに開けて) 嫌だよ。(ドアを乱暴に閉める)」

といった「話し合い」であっても、新入寮生の側がもっと話し合いを作る努力をすべきだ、よって部屋移動は認めない、と恵迪寮自治会が判断する可能性が高い。

さて、もしこれを読んでいる人が恵迪寮に入寮して、上述の立場に陥ったら、どうすべきか。一つの策は、「いまの居室ではアレルギーが出て耐えられない」というストーリーを作ることだ。アレルギーは、恵迪寮自治会が「話し合いでは解決できない」と認定している稀有な例だ。これを利用しない手はない。診断書は求められないだろうし、もし求められてもプライバシーを理由に断るのが妥当だ。

2018年12月12日追記

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「自主的な退寮」の罠

恵迪寮生のGNK氏が

answer-keiteki-inoue.hatenadiary.jp

を書いている。私が

恵迪寮の負の面 - 恵迪寮中途退寮者の意見

恵迪寮は、楽しんでいる人も多いが、苦しんでいる人も多い場所である。ここでは「バンカラ」に名を借りた窃盗・暴力・器物損壊が横行している。「伝統」が強調されるあまり、古参寮生には新入りとともに生きる意識の薄い者もおり、服従させるか追い出すかの二通りしか考えられない者もいる。「文化の継承」「意志伝達」の美名のもと、新入寮生には行事参加の強要、食の強要 (「食い極」と称して吐くまで食わせる) が盛んに行われる。 毎春、経済的に困っている北大生が150人入寮するが、夏までに1割が退寮するのが通例であり、この退寮者の半数ほどが退寮理由に上記の「文化」を挙げる。「全ての運営を学生自身が行」っている結果、こういう弱者が大学当局から必要な援護を得られない状況にある。

と書いたのに対し、同氏は、

賛成度:0%

「こういう弱者」=「文化を理由とする退寮者」、「必要な援護」=「寮に住むこと」ですね。自治会やその運営方法が悪いように読めますが、このような者が出る原因は、「全ての運営を学生自身が行」っていることとは無関係でしょう。一部もしくは全ての運営を外部に任せたとして、言ってしまえば「個人間のトラブル」に介入する責任も無いし、実際にはそんな面倒くさいこと誰もやりたがらないでしょう。殴られたり、嫌がらせをされたりしたら別ですが。

そもそも、その文化とやらに従わなければならない道理が無い中で、退寮せずにより良い方法を模索することができる中で「自ら退寮を選ぶ」=「自ら当局からの援助を断る」ということについて、悪者は存在しないでしょう。(寮生向けの補足ですが、今は充填率の話はしません)

と述べる。

現在、恵迪寮自治会は、文化の保存を公式に自治の目的として定めている。だから、文化による退寮者が存在するならばそれは自治会と自治が原因だという結論になる。

氏は、不満があっても「退寮せずにより良い方法を模索す」べきだと考えているようだ。しかし、行事や食い極に参加したくないと言っても「いや、行こう」の連発で封じ込まれ、しまいには数人がかりで腕をつかんで引っ張られてゆく (何をもって「強要」と呼ぶか - 恵迪寮中途退寮者の意見)、部屋の移動も許されない (恵迪寮ではなぜ部屋の移動が制限されているのか - 恵迪寮中途退寮者の意見) 環境で、何を模索しろと言うのだろうか。

氏の考えでは、

・学校でいじめを苦にして不登校に陥る

・会社でパワハラを苦にして退職を余儀なくされる

・大学でアカハラを苦にして退学を余儀なくされる

・地域で例えば「村八分」のような理不尽な仕打ちを受け、転居を余儀なくされる

といった状況でも、自主的な選択であって悪者は存在しないということになるのだろう。恐ろしい思想だ。

2018年12月12日追記

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入寮予定者の質問に答えて

恵迪寮ではなぜ部屋の移動が制限されているのか - 恵迪寮中途退寮者の意見 に対し、入寮予定者の安川さんから

私は4月から新入生の入寮予定者です。若輩者ですが失礼します。井上さんの文章は、大変読みやすく、全て読ませていただきましたが、大変ためになりました。 私はあくまで「経済的困窮者が、金銭面を気にせず、勉学に励むために入寮するにすぎない」の立場でいるのですが、その為には個室に入りたいです。個室に入るのには困難が待ち受けているのでしょうか。教えてください。

と質問をいただきました。

「個室に入るのには困難が待ち受けているのか」と、「個室に入れば経済的困窮者が、金銭面を気にせず、勉学に励むことができるか」に分けて説明します。

(1) 個室に入るのには困難が待ち受けているのか

新入寮生の受け入れと部屋決めの方法が去年と同じと仮定して話します。変わっている可能性があるので、詳細は恵迪寮自治会に問い合わせてください。

4月1~3日の3日間で新入寮生が入寮します。この3日間は1日あたり5回ほどの部屋決めをします。相部屋の代表はどの部屋も毎回来ますが、個室はこの部屋決めに現れないことがあります。恵迪寮には男子個室が約25部屋、女子個室が5部屋あるはずですが、一回の部屋決めに現れるのは概ね男子10部屋、女子2部屋ほどです。個室の代表が現れたとしても新入寮生を自分の部屋に入れることに熱心でない場合が散見されます。

(2) 個室に入れば経済的困窮者が、金銭面を気にせず、勉学に励むことができるか

本来、個室と相部屋の違いは、居室をどのように使うか、机やベッドをどこにどのように置くかだけであって、勉学ができるかどうかは個室か相部屋かによらないはずです。しかし、現実には個室と相部屋では時間の使い方と住人の気質に違いが生じています。

(2-1) 時間の使い方

寮生活で時間を取られるものとして、行事、自治会の会議、会議以外の業務の3種があります。

行事参加の姿勢は、部屋によります。概ね、個室住人は行事に参加せず、相部屋住人は行事に熱心に参加します。しかし例外もあります。未確認ですが、「部屋まわり」という新歓行事だけは出なければならないと決めている個室もあると聞いたことがあります。相部屋でも、行事参加を各自の意思に委ねているところもあります。部屋決めの前に部屋を見学したり寮生と話したりし、自分の希望をはっきり示した上で部屋の姿勢を聞くのが良いと思います。

自治会の会議は、「代議員会」と「部屋入り」があります。代議員会は、相部屋では時間の都合のつく人のなかからくじで代議員を選んで送り出すところが多いです。個室は、代議員会に代議員を送り出さない部屋や、1年目が代議員を務めるというルールを作っているところがあります。代議員会は概ね月2回で、1回平均3時間くらいかかります。

部屋入りも概ね月2回あります。相部屋では必ず出席するか意見・質問を書き残すというルールになっています。相部屋では1回平均3時間くらいかかります。個室では、1年目だけ出席するルールのところや、開催しないところもあります。開催しても5分で終わるところが多いです。相部屋でも、無駄に長く話しているわけではなくて、議案を熟読した上で不明点を全て質問し、よりよいプランに近づけるために議論する結果この時間になっています。「経済的困窮者が、金銭面を気にせず、勉学に励む」ことができる状態を作り維持するために自治会が北海道大学当局に対し入寮銓衡に関する意見を主張し、その結果、より多くの経済的困窮者が入寮できるようになったというのは事実です。

会議以外の業務のうち、全寮生が平等に負担すべきものとして、事務室での来客対応と掃除があります。おかしなことに、個室住人はほとんど参加せず、相部屋住人が主に担っています。事務室での来客対応は、暇なときに2時間くらいやります。来客のないときは読書や勉強をしていても許されます。掃除は、月に1回、1時間くらいです。

(2-2) 住人の気質

概ね、相部屋住人は活発で、個室住人はおとなしいです。しかし例外もあります。些細なことで烈火のごとく怒ったり、下級生に脅迫じみた言動をする寮生は、個室にもいます。恵迪寮の「部屋」は10人くらいの集団なので、我の強い人、声の大きい人がいると「暴君」として君臨してしまうことが多いです。ただ、君臨してしまったときは、個室の方が悲惨な状況を招くことが多いです。相部屋で起こることは噂になって相部屋住人の全員が知ることになるのですが、他方個室は密室性が高いからです。個室の暴君が、世間の常識から逸脱した、さらに恵迪寮の風潮からも逸脱した「俺様ルール」を部屋内で施行していても、その情報が外に出ず、暴君自身も自分が変だということに気付かないケースがあります。寮生の鈴木麟太郎氏も

私の感想ではなく事実として、「俺の提案に合わないなら引っ越せ」「代々個室だから自治(企画、会議、掃除、防災等全て)に参加しない。部屋の先輩にそう言われた」という、話し合いに応じてもらえず、生活に支障が出るレベルでの理にかなわない話がまかり通ってきたのは、文中で「個室に追いやられた」と表現された人・部屋でした。

と証言しています (鈴木氏の批判に答えて - 恵迪寮中途退寮者の意見)

。気質についても、部屋決め前に調査すると良いと思います。

恵迪寮ではなぜ部屋の移動が制限されているのか

恵迪寮生の我如古氏の

answer-keiteki-inoue.hatenadiary.jp

への返答である。

私が

恵迪寮の負の面 - 恵迪寮中途退寮者の意見

伝統派は恵迪寮の「教育的意義」を強く主張する。寮で他人と共同生活をすることで貴重な「人間的成長」が得られるというのが彼らの言い分である。この帰結として、自治会は寮生が当事者どうしの相談で居室を移ることを制限している。これが自由になると嫌いなもの・嫌いな人から逃げるようになって「人間的成長」の妨げになるのだそうだ。しかしこの結果、立場の弱い者・運の悪い者は窓が破れ、壁が崩れ、寝台が壊れ、マットレスに穴があき、暖房が動かないような居室に押し込められて移動できなくなっている。

と述べたのに対し、我如古氏は

伝統派でくくるな。こういった主張に井上氏は出会ったことがあるのだろうが、上記の「数の上では1/3」の皆が皆こう思っている訳がない。そもそも、居室を勝手に移ることを制限している主たる理由は、郵便配達や、掃除当番の割り振りなどの実務の面であろう。勝手に移られたら担当者は煩雑すぎる。人間的成長」の妨げなんてものが自治会としての第一の理由にはなりえんでしょう。

と述べている。「伝統派」という用語については 恵迪寮伝統派とは誰か - 恵迪寮中途退寮者の意見 を参照されたい。

恵迪寮では、部屋の移動が制限されている。特例として、新入寮生が入寮してから最初の部屋替えを迎えるまでの間のみ、かつ、話し合いで解決し得ない問題についてのみ、入寮銓衡委員会の監督の下、部屋の移動が許可される場合がある。「話し合い」については、我如古氏が

暴力の伴わない「勧誘」「説得」は「強要」だとは思っていない。実情は「断りづらい雰囲気を作る」に留まっていると思う。

と述べている。この見解は寮内で一定の支持を得ており、限りなく「強要」に近い「勧誘」「説得」が横行している。そのことは 何をもって「強要」と呼ぶか - 恵迪寮中途退寮者の意見 に書いた。よって、新入寮生が自分の望む生活を実現するには、かなり高いハードルが設けられており、しかもそれが「話し合い」として扱われている状況である。このハードルを苦にした新入寮生が「部屋を移りたい」と申し出ても、入寮銓衡委員会が我如古氏の説に立てば、「まだ話し合いで解決できる可能性があるから認めない」という結論になってしまう。

我如古氏は

居室を勝手に移ることを制限している主たる理由は、郵便配達や、掃除当番の割り振りなどの実務の面であろう。勝手に移られたら担当者は煩雑すぎる。

と述べる。まあ、納得できる理由である。が、私は初めて聞いた。寮内で部屋の移動を制限する理由としてこれが挙げられたのを聞いたことがない。

我如古氏は

人間的成長」の妨げなんてものが自治会としての第一の理由にはなりえんでしょう。

とも述べているが、これも同様、我如古氏の個人的な見解に留まる。

さらに我如古氏は

運営側の心情としても、恵迪寮は自分の住む所を自分で選べるので(説明略、当然希望がかち合ったらどちらかは譲らなければならないが)、「自分で選んだくせに移動したいとは何事だ」となるでしょう。

と述べる。しかし、この「住む所を自分で選べる」という叙述には注意が必要だ。新入寮生が入寮すると、10人から20人くらいの束で演台に乗り、演台の下から上級生が部屋の看板を持って押し寄せ、新入寮生は看板をつかむことで部屋を選ぶ。これの前に部屋を見学することはできるが、部屋員が全員いるとは限らないし、じっくりと話せるとも限らない。6月と12月の部屋替えでは、部屋の場所・人員を検討する期間が3、4日間あるが、結局最後の10分間に騒乱のなか決定されるのが通例だ (部屋替えについては別エントリで詳述する)。これに責任を求めるのは少し酷ではないか。

我如古氏は、部屋内で生ずる意見の衝突は全て「話し合い」で決したい、限りなく強要に近い説得・勧誘でも暴力を振るわず金銭を徴収しなければそれは「話し合い」のうちだ、という立場のようだ。そしてこれは寮内で通説の位置を占めている。しかし、苦手な人とはなるべく会わないようにする、接触の機会を減らすというのも重要な人生の知恵だ。全てのケースで正面からぶつかり合うべきかと言えば、そんなことはない。部屋移動による解決を認めても良いのではないか、と私は思う。

2018年12月12日追記

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何をもって「強要」と呼ぶか

恵迪寮生の我如古氏の

answer-keiteki-inoue.hatenadiary.jp

への回答である。

私が 恵迪寮の負の面 - 恵迪寮中途退寮者の意見

(恵迪寮では)「文化の継承」「意志伝達」の美名のもと、新入寮生には行事参加の強要、食の強要 (「食い極」と称して吐くまで食わせる) が盛んに行われる。

と書いたのに対し、我如古氏は

賛成度:15%

何をもって「強要」なり「強制」と言うかが問題だ。私は暴力の伴わない「勧誘」「説得」は「強要」だとは思っていない。実情は「断りづらい雰囲気を作る」に留まっていると思う。参加しないと部屋から追い出すとか、引きずってでも参加させるような事例を聞いたことは無(あ、一度嫌がる新入寮生をメシに誘うときに数人で腕を引っ張った覚えがある。)一例しか知らない。その時でも、上級生が説得を続けた末、本人の合意があった。私の知らない所で行き過ぎた行動がとられている可能性は否定できないが、まあ、無いんじゃないかなあ。

何事も、嫌なら嫌で主張すれば良い。いや、しなければならない。結局嫌な思いをするのは自分なのだから。自分は気が弱いから…とか言われても知らん。そこは自己責任だろ。主張しない者の考え方を想像して気を遣えとでも言うのか。不特定多数相手ならともかく、顔を突き合わせた個人間の話なのだから、一般論なんかよりお互いの合意が優先されなければならない。在寮時の井上氏(及び氏から考え方を学んだ者)の表現で、「行事参加は自由」というのを時折見かけた。そんなの当り前だろ。しぶしぶでも何でも、自分の意志で参加したものを後になって「強要された」とか言われても知らん。他学寮で、コンパなどの行事に参加しないと罰金というような所も知っているが、うちはそんなこと無いよ。

と書いている。

まず驚くのは、「説得」という単語が使われていることである。なぜ、たかが遊びに「説得」などという言葉が使われるのだろうか。「説得」とは、しなければいけないことをするように説くときに使う言葉ではないのか。ここは「対話」でなければいけないはずである。

寮内でよく見られる、その「説得」の様子に、こんなものがある。

上級生「外に食事に行こう。」

新入寮生「いまお腹が空いていないので、いいです。」

上級生「いや、行こう。」

新入寮生「それに午後予定があるので。」

上級生「いや、行こう。」

新入寮生「外せない予定なので。」

上級生「いや、行こう。」

新入寮生「予定というのは科目のガイダンスで、それに出ないと不利益が生じるので。」

上級生「いや、行こう。」

新入寮生「それに部活の試合も控えていて、体重を増やしたくないので。」

上級生「いや、行こう。」

新入寮生「勝たなければいけない試合なので。」

上級生「いや、行こう。」

新入寮生「恵迪寮のそういうノリにもちょっと疲れてきたので、一人で食事がしたいです。」

上級生「いや、行こう。」

対話にすらなっていない。しかしこういうのがよくあるのだ。寮歌の普及活動になると、もっと性質が悪い。部屋に1人か2人くらいで過ごしているところに寮歌普及委員が10人くらいで押しかけてきてこのように「いや、歌いましょう」を繰り返すのだ。最終的に「はい、行きます」「はい、歌います」と答える以外の出口のない「説得」「勧誘」は、「強要」に限りなく近い。「行事参加は自由」とわざわざ主張しなければならないほど、こうした「説得」が盛んに行われているのが現実である。我如古氏の言うように「暴力を振るっていないし罰金も取っていないから強要ではない」と主張することは可能だろう。しかしこの主張によって、何を守れているのだろうか。むしろ、この主張がまかり通っている結果、「個室に住んで、寮自治の活動に極力参加しない。相部屋住人とは極力話さない」という選択が生まれている。

もちろん、寮生が個室に住む理由はこれだけではないだろう。「説得」のやり方だけを悪者にするわけにはいかない。しかし、

恵迪寮の個室は驚異の発明品だ。 - 恵迪寮中途退寮者の意見

恵迪寮の個室は分断統治されている。 - 恵迪寮中途退寮者の意見

に書いた通り、個室の現状は、恵迪寮の民主的運営の巨大な阻害要因である。そのために、個室の現状を生んでいると疑いのある要因は全て精査・改善する必要があると私は考える。

2018年12月12日追記

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何をもって「横行」と呼ぶか

我如古氏の answer-keiteki-inoue.hatenadiary.jp への回答である。

私が 恵迪寮の負の面 - 恵迪寮中途退寮者の意見

恵迪寮は、楽しんでいる人も多いが、苦しんでいる人も多い場所である。ここでは「バンカラ」に名を借りた窃盗・暴力・器物損壊が横行している。

と書いたのに対し、我如古氏は

賛成度:30%

あちらのブログの最初の記事の冒頭である。うーん、インパクト強いね。窃盗・暴力・器物損壊がゼロとは言わないが、あくまで「そういう個人がいる」というに留まり、自治会が組織ぐるみで行っていたり、「恵迪寮の文化」として残そうとその行動が引き継がれてきたものではない。「文化」や「暴力」の定義があちらさんとは違うと思うので、詳しい説明がなされれば賛成度は上がるだろうが、「横行」は言い過ぎ。善人はおちおち生活できない寮のように読めてしまう。

加えて、「バンカラ」に幻想を抱いているつもりはないが、「バンカラ」に名を借りたというより、個人の怠惰や無思考が主な行動の動機であるように思う。

と述べる。しかし私はやはり、恵迪寮では窃盗・暴力・器物損壊が「横行している」と思う。自治会の規約に「裁判」の規定があり、謝罪、弁償または退寮の処罰を下せることになっているが、少なくともここ5年間、これが行われたことはない。窃盗・暴力・器物損壊を行った者が、警察の捜査を受けたり、大学から譴責・停学・退学といった処分を受けたことも、私は聞いたことがない。加害者が自主的に退寮したり謝罪したりしたことも、私は聞いたことがない。他方、窃盗・暴力・器物損壊を苦にした退寮者は確実に存在する。

バンカラ」に名を借りた、という言い方は真実ではないかもしれない。しかし、執行委員が冷蔵庫やアイスの什器の施錠を忘れたときに中身を盗むことは、「教育」として行われている。誰々がこういう曲がったことをしたから殴ってやったといった話を美談として披露する者がいる。昔こういうことをして誰々さんに殴られたというのを美しい思い出として話す者もいる。下級生の眼鏡や大切な本やコレクションを壊すとかマヨネーズをかけるといった行いも、上級生から下級生への絡みとして容認する勢力がある。恵迪寮では、窃盗・暴力・器物損壊が文化の後押しを受けている。私はそう考える。

2018年12月12日追記

クレジットを消しました。