恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学卒業者・恵迪寮中途退寮者の井上修一が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

恵迪寮の負の面

http://www4.nhk.or.jp/72hours/x/2015-01-30/21/25098/

NHK のドキュメントに恵迪寮が出るようだ。

恵迪寮は、楽しんでいる人も多いが、苦しんでいる人も多い場所である。ここでは「バンカラ」に名を借りた窃盗・暴力・器物損壊が横行している。「伝統」が強調されるあまり、古参寮生には新入りとともに生きる意識の薄い者もおり、服従させるか追い出すかの二通りしか考えられない者もいる。「文化の継承」「意志伝達」の美名のもと、新入寮生には行事参加の強要、食の強要 (「食い極」と称して吐くまで食わせる) が盛んに行われる。 毎春、経済的に困っている北大生が150人入寮するが、夏までに1割が退寮するのが通例であり、この退寮者の半数ほどが退寮理由に上記の「文化」を挙げる。「全ての運営を学生自身が行」っている結果、こういう弱者が大学当局から必要な援護を得られない状況にある。 「自治」と言えば、当事者が話し合って民主的に問題を解決する、といったような穏当なイメージが浮かぶが、恵迪寮の自治はそういうものではない。非伝統派の意思が寮運営に反映されないよう、また伝統派が簡単な手順で権力を握れるよう巧妙に設計されているのが恵迪寮の自治制度であり、数の上では 1/3 ほどの伝統派が主流派となっている。伝統派の横暴はしばしば目に余る。

伝統派は恵迪寮の「教育的意義」を強く主張する。寮で他人と共同生活をすることで貴重な「人間的成長」が得られるというのが彼らの言い分である。この帰結として、自治会は寮生が当事者どうしの相談で居室を移ることを制限している。これが自由になると嫌いなもの・嫌いな人から逃げるようになって「人間的成長」の妨げになるのだそうだ。しかしこの結果、立場の弱い者・運の悪い者は窓が破れ、壁が崩れ、寝台が壊れ、マットレスに穴があき、暖房が動かないような居室に押し込められて移動できなくなっている。 恵迪寮にはテレビ・ラジオ・雑誌の取材がよく来るが、こうした負の面が取り上げられることは稀である。

2018年12月12日追記

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