恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学卒業者・恵迪寮中途退寮者の井上修一が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

恵迪寮の人間関係の虚しさ

恵迪寮では、どの部屋に住むを自由に選ぶことができない。部屋を結成するには、自治会からいろいろ条件が課される。1部屋に3人以上の2年目を含まねばならない、とか、春には2人以上の1年目を入れなければならない、等である。さらに、一度部屋に入ってしまったら次の部屋替えまでおよそ半年住み続けなければならない。

また、行事や飲み会には参加を強要される。

これらの結果として、恵迪寮では、自分の好きな人と一緒にいることは難しく、むしろ興味のない人と一緒にいることになる。

さらに、私がいたころの恵迪寮では、上級生に媚びへつらうことがよく行われていた。媚びへつらっておけば鬱陶しい絡みが減り、説教や体罰も減るので合理的な行動だ。寮外で人並みの人間関係があれば寮内の面従腹背に気づきそうなものだが、

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で書いた通り、恵迪寮伝統派の上級生は寮外で相手にされていない人が多く、察することができないようだった。

このようにして、恵迪寮は、自分と気の合わない人でも合いそうに見える、自分に興味のない人でもありそうに見える、自分を軽視している人も軽視はしていないように見える空間となっていた。

寮外のつき合いではこういうことは少ない。クラスでもサークルでも北大学外でも、つまらない人と一緒にいることを強制されることは少ない。だから、合いそうにない人はさっさと切って次に行くことができる。そうして、本当に合う人に早く出会うことができる。

友情は実利を生むことが多い。打算のない友情こそ美しいのだという見解のあることは知っているし、私もそういう友情には憧れる。だが現実には、良い友人は、金が欲しいと思っているときに儲け話を持ってきてくれ、職に困っているときに働き口を持ってきてくれ、退屈しているときに出会いを持ってきてくれ、新たな商売・学問・趣味を始めたいときには入門の案内をしてくれる。良い友宜は、貯金や学力や職務経験と並んで、自分の資産として自分の生きるのを助けてくれる。

大学の自由な環境は、上述の友宜を築くのに有効である。恵迪寮の活動にコミットすればしただけ、寮外での活動の時間は減り、寮外の出会いは減り、寮外の人間関係からは切り離されてゆく。出会う人のほとんどに嫌われるレベルで人に好かれる才能のない人ならば思い切って恵迪寮にフルコミットしてみるのも良いだろうが、99%の普通の人にはおすすめできない。