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恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学学生・恵迪寮中途退寮者の井上大輔が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

恵迪寮自治会入会拒否という選択肢

恵迪寮自治会は、入会してもしなくても自由、入会後に退会するのも自由の団体だ。新入寮生に自治会からお願いして入会してもらっている。北海道大学当局も、全員が加入しなくても寮での生活は可能であるし、自治会が寮の運営に関わることも可能である、と見解を示している。ただ、私の知る限り、これまでに入会を拒否した人はいない。退会の手続も定められていない。

しかし、現状の恵迪寮自治会に対しては、入寮時に入会を拒否するのもあり得ると考える。その理由を述べる。

私は、寮生全員加入の自治会は、できればあった方が良いと思う。もし北大当局が常に寮生の声をよく聞いて理に適った判断をしてくれるなら、当局に運営を任せても良いだろう。しかし現実にはそれは期待できない。北大の校舎・教室・サークル会館・体育館・図書館の利用には実に窮屈な制限が加えられ、学生の声もあまり聞き入れられていない。最近では6限の設置とジンパ (ジンギスカンパーティ) の規制が学生の合意なく行われた。北大祭の期間短縮は学生の抗議でようやく食い止めた。恵迪寮に関しても、入寮銓衡の不合理な点について恵迪寮自治会が是正を求め続け、少しづつ改善してきた実績がある。寮生が自分たちの生活する寮の利用法を自分たちで設計するための話し合いと決定の機関はあった方がいいし、寮生が当局と交渉する権利もあった方がいい。恵迪寮自治会はこの役目を担っている。

しかし、現在の恵迪寮自治会は、話し合いと交渉以上の機能を持ってしまっている。いまある文化の保存も自治会の任務としてしまっている。文化活動常任委員会、新歓 (新入寮生歓迎行事) 実行委員会、寮祭実行委員会が自治会に設置されているのもその現れだ。恵迪寮の文化が好きで守りたいならば入会するのも一手だろうし、逆に恵迪寮の文化が嫌いで関わりたくないならば入会しないのも一手だろう。どちらも、個人の意志を実現に近づけるための政治的行動である。これが第1の理由だ。

第2に、現在の恵迪寮自治会は、話し合いにより多くの寮生の意志を統合して最良の判断をする機能を果たせていない。多くの寮生の声が「郷に入りては郷に従え」の一言で圧殺されていることは【「郷に入りては郷に従え」の恵迪寮自治】(http://blog.hatena.ne.jp/hydrochloride/ex-keiteki.hatenadiary.jp/edit?entry=8454420450087146412) に書いた。

第3に、個室に住んで、自治にほとんど全く参加せず、代議員会と選挙に数合わせとして参加するだけの寮生がたくさんいることを、【恵迪寮の個室は驚異の発明品だ。】(http://blog.hatena.ne.jp/hydrochloride/ex-keiteki.hatenadiary.jp/edit?entry=8454420450085705389) に書いた。入会してもこうなるくらいならば、初めから入会しない方がまだ健全ではないか。

第4に、自治会の運営の方法に問題がある。伝統派寮生は、「恵迪寮の自治を保つには、新入寮生に恵迪寮の文化を好きにさせる必要がある。未知のものを好きにさせるのだから、手荒なやり方をとってしまうこともある」と主張する。そして食い極や行事参加の強要が生じる。ハラスメントなしでは保てない自治ならば、こんな自治には関わらないという選択も認められるべきだ。

第5に、現在自治会執行部は力を持ちすぎている。執行部の出した議案はほぼ全て承認される。代議員会で反対票を入れるならば執行部 (百戦錬磨で口がうまい) と議論して論破せねばならない、とか、修正動議を提出するならば寮の全部屋を回って説明しなければならない、といった、少数意見を持つ側に厳しい慣例がある。会議で出た少数意見を執行部が黙殺する例も多い。会議以外の場所で意見を言えば、執行部は「寮運営に関する意見は自治会の会議で言うべき」「会議以外の場所で意見を言うのは一方向的であり好ましくない」「会議以外の場で執行部を批判するのは執行部に対するネガティブキャンペーンである」といった難癖をつけてくる。貼り紙を剥がしたり書き込みを削除する等の実力行使をしてくる場合もある。

現在の恵迪寮自治会執行部の強気を支える要因に、現在の「寮生全員が自治会員。入会しなかった寮生も退会した寮生もいない」という体制がある。自治会への入会を当然とせずに拒否する新入寮生が現れれば、この力関係を改善できる。1人、2人、3人、そして、10人、20人と入会拒否者が増えてゆけば、自治会執行部も妥協できるところは妥協せざるを得ない。「全員自治会入会による寮運営を前提としているが、自治会入会は強制できない」というのが恵迪寮自治会の最大の弱点だからだ。自治会入会前の入会拒否は、寮生個人が自治会執行部から妥協を引き出せる最後の機会とも言って良い。

恵迪寮自治会執行部は役所の公務員と同じで、既定路線に事態を着地させようという意志が極めて強い。だから、自治会入会拒否を表明しても、結局はうまい言葉で丸め込まれたり、囲い込まれたりして、入会することになるだろう。寮を管轄する北大の学務部学生支援課に相談すれば何らかの援護はしてくれるだろうが、やはり入会する結果になると私は予測する。しかし、拒否の意思を示すことに意義がある。やすやすと入会しないことに意義がある。「入会してください」と言われてから入会するまでを1分でも延ばすことに意義がある。私はそう考える。

(井上大輔北海道大学3年・恵迪寮中途退寮者。シェア・転載歓迎。)