恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学卒業者・恵迪寮中途退寮者の井上修一が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

恵迪寮自治会に入会しないと実生活に支障が出るか。

【恵迪寮自治会入会拒否という選択肢 2】(http://ex-keiteki.hatenadiary.jp/entry/2015/03/08/224603) においてこの論点を後回しにした。今日はこれを取り上げる。自治会が寮生に提供している機能・サービスごとに論じたい。

自治会の物品 (印刷機や工具)、自治会による物品・食品の販売

使わなければ良い。

寄宿料・光熱水費の徴収

自治会員に対しては執行委員会会計部が徴収業務を行っているが、非自治会員は大学当局の窓口に行けば受け付けてもらえるだろう。

複数人数部屋 (いわゆる相部屋)、居部屋 (寮生何人かで共同使用するリビング)

複数人数部屋を結成する権利、居室を居部屋として使う権利は自治によって獲得したものである。私の価値観では、自治に参加しないならば複数人数部屋には住むべきでない、居部屋を作ったり使ったりすべきではないと考える。しかし、法的、あるいは通念的には「ただ乗り」も問題ないのかもしれない。

郵便の仕分け、宅配便の預かり

現在、寮生あての郵便・宅配便は、すべてが一旦事務室に届く。これに執行委員会が仕分け・預かりを実施している。非自治会員だけこのシステムから抜けるのは難しいだろう。

よって、非自治会員は自治会に郵便の仕分け、宅配便の預かりをしてもらうということになる。これに対しどう対価を支払うか。

A 執行委員会と取り決めて、金銭を支払う。

B 何日かに1回、事務室に詰めて、郵便・宅配便の取り扱いを担当する。

C 掃除や雪かきといった他の労役を提供する。

の三つがあり得ると思う。

A はおそらく執行委員会が断るだろう。執行委員会は寮生全員を自治会に入会させる意志を持つからだ。

B は、寮生全員から同意を得れば可能だ。もし、執行委員以外に自分の郵便・宅配便を触れてほしくないという人がいたら、その人宛の郵便・宅配便が来たらすぐさま執行委員を呼んで取り扱いを頼むという方法をとり得る。現状でも、平日夕方と休日の一般寮生が事務室に詰めているときに郵便・宅配便が来たときは執行委員を呼んで取り扱いを頼んでいる。

C も、おそらく執行委員会は断るだろう。しかし、金銭の授受と違って、労役は勝手に行うことができる。精力的・献身的に働けば、寮内世論を納得させ、「あいつは自治会員でないのに自治会から郵便・宅配便の取り扱いのサービスを受けているずるいやつだ」という批判を打ち消すことができるだろう。

この項の、郵便・宅配便の取り扱いには対価を支払うべきだというのも、私の観念に基づく。法的・通念的には「ただ乗り」が許されるのかもしれない。

居室の壁や窓の補修、ベッドやマットレスの支給

現在、居室の壁や窓の補修、ベッドやマットレスの支給は、自治会が取りまとめて大学当局に要求している。自治会に入会しなかった場合、これは自分で大学当局に要求することになる。大学当局は「自治会に全員が加入しなくても寮での生活は可能であるし、自治会が寮の運営に関わることも可能である」と見解を示して、自治会側の「全員が自治会に加入する必要があるから、自治会に入会しないと入寮できない制度を作ってほしい」という要望を退けている。だから、非自治会員から設備・物品に関する要求が来ても、応じる義務がある。

部屋決め

「部屋」と「居室」は意味が違うことに注意されたい。定義は【恵迪寮の個室は驚異の発明品だ。】(http://ex-keiteki.hatenadiary.jp/entry/2015/02/27/004019) を参照されたい。

現在、寮内のすべての部屋は恵迪寮自治会の「部屋サークル」という機関だということになっている。寮生は入寮時にどの部屋サークルに所属するかをまず宣言し、それから部屋のなかで居室が割り当てられる。つまり、現行の制度では自治会に入会しないと居室が割り当てられない。

しかし、あくまで自治会入会は義務ではないし、大学当局が入寮を許可した者は非自治会員であっても寮の居室に住む権利があるのだから、非自治会員が現れた場合、自治会はこの制度を改正する責任があるはずだ。具体的には、非自治会員に対しては上記の部屋決めとは別枠で大学当局が居室を指定し、その居室は部屋サークルから脱退するという形になるはずだ。

部屋替え

現在、6月・12月に自治会が全寮生を対象に部屋替えを実施している。非自治会員はこれに参加する権利はないだろう。自治会員も、非自治会員の居室には望んでも移れないということになる。

逆に、非自治会員が居室の移動を望むならば、大学当局の許しを得て移ることになるだろう。移動元の居室は部屋サークルに復帰し、移動先の居室は部屋サークルから脱退する。

他の寮生との欲求の調整

現在、自治会は、恵迪寮では補食談話室・トイレをブロック住人で共同使用しており、さらに寮生どうしの距離が近いから欲求が衝突しやすく、調整が必要であり、調整の最良の手段は自治会を結成して話し合いの場を確保することだ、という立場をとっている。しかし、自治会がなくても話し合いはできるはずだ。近くの住人に「君、補食談話室で筋トレをしないでくれ」とか「トイレの掃除は当番制で均等に行いましょう」と声をかけて欲求を調整するのは人間の基本的な機能であって、自治会がなくても達成できる。国立大学の寮の多く (専門用語では「新々寮」という規格の寮) が恵迪寮と同じ構造だが、自治会なしで生活を成り立たせていることを見ればわかることだ。

自治会側は、事務室や図書資料室を全寮生で共同使用しているから、全寮生の欲求の調整のために自治会が必要だし全寮生が加入する必要がある、と主張するだろう。これに対しては、非自治会員は、使わないか、使いたいならば利害関係者と話し合うという選択をとれる。利害関係者と話し合うことは自治会なしでも可能である。極端に言えば、仮に利害関係者が寮生全員であっても、自治会とは別に話し合いの会を設けることが可能だ。この全寮生の話し合いの会は、いまある恵迪寮自治会と酷似したものになるだろうが、文化の保存を任務としないという点が決定的に異なる。そして、この、恵迪寮自治会が、話し合いと決定以外に文化の保存までも任務としている点が、私が現在の恵迪寮自治会に全員が入会する必要がないと考える最大の理由である。