恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学卒業者・恵迪寮中途退寮者の井上修一が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

共謀罪を知るために恵迪寮を知る。

共謀罪法案が成立した。今後、知性のある者から順に日本を脱出し、日本は滅ぶだろう。

国会が共謀罪法案を可決したのは、我々日本国民が民主主義を実践してこなかった結果だ。そして、共謀罪の存在によって民主主義の実践はますます困難になるだろう。日本国憲法の制定から 70 年、民主主義は日本に根づかなかったのだ。

私はこの < 根づかなさ > を生で目撃した。どこでか? 恵迪寮でだ。

北大生の大半は、公立中学校と、学区で 2 番の高校 ( いわゆる自称進学校 ) の出身だ。これらの学校では、民主主義とはかけ離れた原理によって教育を行っているようだ。彼/彼女らの語る彼/彼女らの母校の常識は、私のごときリベラルな教育を受けてきた者にとっては驚愕するものだ。

北大は勉強熱心な学生が多い。彼/彼女らは大学入学後間もなくして、彼/彼女らの母校の常識が世界の常識とは異なることに気づく。

だが、恵迪寮伝統派はそうではない。恵迪寮では、行事も寮運営の業務も反知性的なものなので、これらは北大生のなかの学力最底辺層を惹きつける。この層が恵迪寮伝統派になる。彼/彼女らは勉強をしない。本や新聞を読まない。公立中学校と自称進学校で擦り込まれた常識を無批判に護持し、先輩の話を無批判に受け入れる。そうして寮自治に参加し、日本国憲法の保障する諸権利を寮生から奪うような寮運営をする。不勉強のまま大学を卒業し、北大のブランドでどこかに就職し、職場の上長と同調圧力に従順を貫いてゆく。後輩には「社会に出たらどうのこうのだ」と偏狹な常識を説いて生きてゆく。

公立中学校、学区で 2 番の高校、北大と進んでどこかに就職する層は、日本社会の中堅を担う層だと言って良いだろう。この中堅の層に、上位層すなわち私立・国立中学校と学区で首位の高校と異なることを教える教育、憲法とも民主主義とも無縁なところで生きさせる教育が、日本から民主主義を追い払った要因だろうと私は見ている。少なくとも要因の一つではあるだろうと見ている。

恵迪寮伝統派の姿は、北大生・北大出身者の平均値や中央値ではない。むしろ外れ値である。だからこそ、中堅への教育の悪いところが濃縮されて、観察しやすい。それに、北大生一般とは違って恵迪寮伝統派は自治をするので、人権感覚のなさがよく見える。

日本は滅ぶ。どのようにして滅んだかを書き残すのが、滅ぶ国の民が歴史に対してなし得る貢献だと私は考えている。日本はどのようにして民主主義を拒絶したか、どのようにして共謀罪を法体系に組み込んだか、そしてどのようにして滅んだかを記録して歴史に献呈すれば、後世の人が同じ失敗をしないために参考にできる。私はこの目的のためにも、恵迪寮で見たものをこのブログに書くつもりだ。