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恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学学生・恵迪寮中途退寮者の井上大輔が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

ヒルトン合宿・ニュープリ合宿の功罪

恵迪寮の新歓行事の一つに、「ヒルトン合宿」というものがある。近年は「ニュープリ合宿」という名がつくこともある。内容は、概ね以下のとおりだ:

・新入生に「OBが経営する高級ホテルで合宿をする」と嘘を言って誘い出す。

・実際は農村の公民館等の施設に連れてゆき、一泊させる。

・公民館等では、新入生にチームを組ませて芸をさせる。

・公民館等で新入生が寝ているときに全員集合をかけて、ストームをさせる。

・帰りは新入生にチームを組ませてヒッチハイクで帰って来させる。

毎年、新2年目が新歓実行委員会のなかで「ヒルトン合宿プロジェクトチーム (PT)」を結成して、この行事を自治会の名で企画・実施する。PT員や実施に賛成する寮生は、やる理由について、

・伝統だから。

・自分が参加して楽しかったから。

・自分が参加して恵迪寮の自治の魅力を知ったから。

・新入生に「ヒッチハイクをしよう」と誘っても乗る者はわずかなので、騙す等の手段が必要になるから。

ヒッチハイクにより人間的成長が得られるから。

と述べることが多い。

しかし問題点もある。

第一に、自治会の信頼を下げる要因になっている。この行事は楽しめる新入生ばかりではない。これがきっかけで自治・自治会にはなるべく関わらずに過ごそうと決める新入生がいる。

さらに、恵迪寮自治会は、自治会の名で人を騙す企画をしておきながら、寄宿料・自治会費といったお金、電話番号や帰省先住所といった個人情報については「自治会を信用して差し出すべきだ」という姿勢をとっている。ヒルトン合宿に賛成する者は「自治会の行事のセクションと実務のセクションは容易に判別できるはずだ」と言う者が多いが、それは自分とその周りの者がそうだからそう信じているに過ぎない。彼らがいろいろな層の寮生との対話や全寮規模の調査に基づいてこの問題についての見解を発表したことはない。

第二に、「経済的に困窮した学生が安心して住める住居」という、寮の最も重要な意義を損なう。新入生よりも多くの情報を持っており立場も強い上級生が新入生を騙すような環境で、全ての寮生が安心して暮らせるだろうか。

第三に、単に行事を楽しめるか楽しめないかの差を、人格的な優劣の問題に置き換える上級生がいる。ヒルトン合宿を楽しめなかった新入生がそれを口に出すと、「お前は器が小さい」とか「お前はこれまで友達と騙したり騙されたりして楽しむ関係を築けなかったのか。寂しい人生だな」と人格を攻撃する上級生がいる。

第四に、フェアではない。ヒルトン合宿に賛成する寮生のなかには、「新入生がヒルトン合宿に腹を立てたならば、新入生も上級生を騙して連れ出す企画をすれば良いのだから、新入生と上級生は対等な関係にある」と主張する者がいる。しかし、新歓実行委員会もヒルトン合宿PTも、これまで毎年設置されてきたものである。引き継ぎ資料も存在する。言うならば上級生は「流れに乗る」ことで効率的にヒルトン合宿を実施できる。それに上級生の側は新歓実行委員会が始動するころには既に大部分顔見知りになっている。入って1ヶ月ほどの新入生にそのような企画を行う組織を結成することを求め、同じようなことをやることを求めるのは、過大な要求ではないか。少なくとも、上級生の側よりも多くの労力を要する。こうして、この行事も、「上級生には逆らえない、逆らってはならない」と新入生に刷り込む手段として機能する。恵迪寮伝統派の常套手段、マウンティングだ。

第五に、健康に問題のある人に優しくない。世の中には持病があって夜は十分な睡眠を取らねばならない人もいる。こういう人をヒルトン合宿に参加させて夜中に起こすのはすべきではない、と私が寮内で述べたら、「そういう人はヒルトン合宿PTに申し出れば良い」という反論を受けた。騙して、つまり本人の意思と無関係に行事に参加させて、さらに恵迪寮の相部屋住人のような人の噂が何よりも好きな集団に、プライバシーを開示しろというのか。自分の病気について人に言いたくない人はどうすれば良いのだろうか。ヒルトン合宿に賛成する者はこの問題を考えていない。

第六に、ヒルトン合宿は寮生の言論の自由を制限した上で成り立っている。これについては別エントリで述べる。

(井上大輔北海道大学3年・恵迪寮中途退寮者。シェア・転載歓迎。)