恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学学生・恵迪寮中途退寮者の井上大輔が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

恵迪寮裏の沼には飛び込まない方が良い

4月4日になった。例年、恵迪寮では4月の初めの3日間を新入寮生の入寮の期間としているので、例外を除き、もうほとんどの新入寮生が入寮し、部屋に配置されたことだろう。

そしてそろそろ「部屋まわり」という行事が始まるころだろうか。これは、新入寮生が寮の各部屋に挨拶まわりをするという名目で、新入寮生にゲームや芸をさせたり、寮の裏の沼 (サクシュコトニ川、サクシュと呼ばれている) に飛び込ませたりするものである。

私は、沼には飛び込まないほうが良いと思う。沼の水はエキノコックスという寄生虫に汚染されている可能性があるからだ。北海道庁のウェブサイトエキノコックス症の知識と予防 には、

エキノコックスは、自然界においては、主にキツネと野ネズミに寄生しています。

私たち人間は、エキノコックスの卵に汚染された山菜や沢水などを直接口にしたり、卵が付着した手指を介して感染して、野ネズミと同様にエキノコックスの幼虫が肝臓に寄生します。

エキノコックスの卵は、直径0.03mmの球体で肉眼では見えませんが、十分な加熱や水洗い(手洗い)で、感染を予防することができます。

人にエキノコックスが感染しても、すぐには自覚症状が現れず、数年から10数年の潜伏期を経て、上腹部の不快感や膨満感が現れ、しだいに肝機能障害に伴うだるさや黄疸等の症状が現れ、放っておくと肺や脳に病巣が転移したり、命にかかわることもあります。

と記述がある。

(エキノコックスの寄生によるエキノコックス症は) 道内では毎年10数名の患者が見つかっています。

とも記述があるから、高確率で起こる病気ではないが、重篤な結果につながるリスクのあることは認識すべきだ。

沼に飛び込むのが楽しい、とか、沼に飛び込まないと臆病な人間と思われそうで怖い、という意見はあるだろう。しかし、飛び込む楽しさはせいぜい30秒で終わる。臆病な人間と思われても、その評価は恵迪寮内にしかないし、恵迪寮で過ごすのもせいぜい何年かだ。これらのために、低確率とは言えど一生続く肝障害のリスクを負うのは、割に合わないと思う。

部屋によっては、部屋まわりへの参加を強要されることもあるだろう。しかし、強要されて参加して健康を失っても、強要した上級生はおそらく責任を取らない。現寮生のGNK氏は、行事参加の強要について、

何をもって「強要」なり「強制」と言うかが問題だ。私は暴力の伴わない「勧誘」「説得」は「強要」だとは思っていない。実情は「断りづらい雰囲気を作る」に留まっていると思う。参加しないと部屋から追い出すとか、引きずってでも参加させるような事例を聞いたことは無(あ、一度嫌がる新入寮生をメシに誘うときに数人で腕を引っ張った覚えがある。)一例しか知らない。その時でも、上級生が説得を続けた末、本人の合意があった。私の知らない所で行き過ぎた行動がとられている可能性は否定できないが、まあ、無いんじゃないかなあ。

何事も、嫌なら嫌で主張すれば良い。いや、しなければならない。結局嫌な思いをするのは自分なのだから。自分は気が弱いから…とか言われても知らん。そこは自己責任だろ。主張しない者の考え方を想像して気を遣えとでも言うのか。不特定多数相手ならともかく、顔を突き合わせた個人間の話なのだから、一般論なんかよりお互いの合意が優先されなければならない。在寮時の井上氏(及び氏から考え方を学んだ者)の表現で、「行事参加は自由」というのを時折見かけた。そんなの当り前だろ。しぶしぶでも何でも、自分の意志で参加したものを後になって「強要された」とか言われても知らん。他学寮で、コンパなどの行事に参加しないと罰金というような所も知っているが、うちはそんなこと無いよ。

(「恵迪寮の負の面」へのアンサー - 恵迪寮残寮者の意見)

と述べている。あなたが部屋まわりへの参加を強要されて寄生虫に身体を侵されても、その対処についてこういう寮生の声が大きければ、「断りにくい雰囲気はあったかもしれないが、あくまで自発的に参加した」という結論にされてしまって一件落着となるだろう。

対処策としては、以下に書くような策があるだろう。

・部屋まわり参加中に沼に飛び込む流れを察知したら、断るか逃げるかする。個人の力で逃げ切れそうになかったら寮付近の住民等に助けを求めるのも手だ。

・自分の能力に照らして部屋まわり中に断るか逃げるかするのが難しそうならば、部屋まわりに参加しない。上級生が「挨拶まわりをするのは新入りとして当然の礼儀だ」と言うかもしれないが、ならば初対面の人間に芸をさせない、沼に飛び込ませないというのも当然の礼儀だ。

エキノコックス症の予防・発見・治療に関する知識も前掲のエキノコックス症の知識と予防 に記載があるので、ぜひ参照してほしい。

(井上大輔北海道大学3年・恵迪寮中途退寮者。シェア・転載歓迎。)