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恵迪寮中途退寮者の意見

北海道大学学生・恵迪寮中途退寮者の井上大輔が書いています。恵迪寮での文化の押し付け、多発するハラスメント、民主主義を無視した運営に辟易して退寮しました。

恵迪寮自治会の代議員の選出は、大量の死票を生んでいる。

恵迪寮規約第15条に

代議員会はこの寮における常設最高議決機関である。

と定めがある。代議員会規定第4条には、

代議員は互選により各ブロックより一人ずつ選出される。

と定めがある。現実には、部屋入り (代議員会に先立つ、各部屋での議案の予備審議) の後、各部屋でカード引き (各員がトランプを山から1枚ずつ引き、「ナポレオン」というゲームのスート・数の序列に基づいて勝敗を決めるもの) をして、勝った者が代議員を務めることになっている。代議員は名誉ある職務である、という建前から、負けた者ではなく勝った者が務める。

この選出方法に落とし穴がある。大量の死票を生んでいるのである。なぜならば、ブロックごとに賛否の決まる議案がほとんどないからである。もし仮に、「寮の共用部にあるピアノやドラムを24時間使って良いことにしよう」という議案が出たら、これはブロックごとに意志がほぼ決まるだろう。ピアノやドラムに近いブロックはこの議案がもたらす害が大きいし、ピアノやドラムから遠いブロックはこの議案がもたらす害が小さい。各人が自分の利害だけを考慮して賛否を決めると仮定すると、ピアノ等に近いブロックは反対で決まりだし、遠いブロックは賛成で決まりだ。それぞれ、反対の立場の代議員と賛成の立場の代議員を代議員会に送ることになる。かくして、代議員会での賛成票と反対票の比は、寮生の賛成反対の比を正確に反映する。現実にはここに「自分はピアノ等に近いから害を受けるが、寮全体の利益を考えて賛成する」「自分はピアノ等に遠いから害を受けないが、寮全体の害を考えて反対する」という立場が加わるわけだが、基本的にはブロックごとに賛否が決まるだろう。

ところが、現実の議案はそうではないのだ。属地的に利害の決まる議案はほとんどない。執行委員会の物品販売をどう行うか、執行委員会の炊き出しをいつ行うか、大学当局との交渉で何を主張するか、入寮銓衡をどう行うか、飲酒の規制をどう行うかといった問題の利害は、属地的には決まらない。むしろ人それぞれの経験や価値観、具体的には寮に何を求めているか、自分の24時間のうちどれだけを寮で過ごしどれだけを外で過ごすかといった要素で決まることが多い。つまり、寮自治会で話し合う案件のほとんどは、判断が属人的なのだ。

建前上、恵迪寮の全ての部屋は「部屋サークル」という自治会の機関ということになっている。各部屋は部屋サークルとして「アニメを見る」とか「将棋を指す」といった趣旨を掲げその趣旨のもと活動する人を集めているという建前である。この建前から、各部屋には価値観の類似した寮生が集まりやすい、という主張を聞いたことがある。この主張の下では、上記の代議員の選出も、目立つほどの死票は生み出さないという結論になるだろう。しかしそうだろうか。「将棋を指す」という趣旨で結束した人たちが、「飲み会の申請を実行何日前まで受理すべきか」という問題において利害を同じくするだろうか。そして賛否を同じくするだろうか。それに、寮生が部屋を選ぶ動機は、部屋の趣旨への共鳴だけではない。「好きな寮生と同じ部屋に住みたい」「嫌いな寮生と違う部屋に住みたい」「他の部屋に入れなかったからしかたなく」「部屋の趣旨は無視して自分のやりたいことをできそうだから」と、様々な思惑があるのだ。

これを打破するには、代議員の「選挙区」を変えるか、代議員がブロックの少数意見も死票にせずに代議員会の場で確実に表明することである。